フィノッキオ

イタリア特有の野菜シリーズ、先週のカルチョーフォに続いて、今週はフィノッキオをご紹介します。

フィノッキオ

日本ではフェンネルといい、香草として葉の部分を魚料理に使ったり、

香草フェンネル

種をすりつぶして、香辛料として使ったりしますが、

フェンネルパウダー

あまり使われない食材というイメージがあるのは、私だけでしょうか?

ところが、イタリアでは葉から根まで全部位食べます。フィノッキオの独特な香りと味に魅せられたイタリア人はこの食材が大好きで、特に根元の部分はいろんな料理に使われます。

フィノッキオ

オレンジとフィノッキオを薄く切り、黒オリーブを散らしたら、オリーブオイルと塩であえて、出来上がり。生で美味しいフィノッキオは、サラダとの相性が抜群です。

フィノッキオのサラダ

加熱しても美味しいフィノッキオは生クリームとからめて、オーブン料理としてメインで食べられたり、

フィノッキオのオーブン焼き

種はパン生地に練りこんで焼いたり、

フィノッキオ入りパン

と、万能の食材。

ヨーロッパ最古のサレルノ薬学校の教科書は、胃腸の消化を助ける食材という記述があります。他にも口臭をおさえる効能があるなど、美味しいだけでなく薬膳にもなるフィノッキオ。

もちろん、イタリア人は沢山食べすぎた後、フィノッキオのハーブティを飲みます。

フィノッキオのハーブティ

香りの強いフィノッキオには、こんなエピソードも。

「インフィノッキアーレ(infinocchiare)」という、相手をだますとか、ごまかすという意味の言葉があるのですが、これは、18 世紀初頭、ワインの商人たちがワインの試飲の前に香りの強いフィノッキオを食べさせて、味をごまかしていたことから、生まれた言葉なんだそうです。

アスコリのあるマルケ州やプーリヤ州が主な生産地で、冬の野菜として楽しまれるフィノッキオ。

日本の友人たちに食べてもらうと皆が口をそろえて、「ヨーロッパの味」という、この野菜を是非試してみてください。